何年か前までは良くセミリタイアして田舎暮らしをしてみたいという人がいましたが、最近はあまり耳にしなくなりました。
逆に田舎暮らしを始めてはみたものの現実は思っていたより厳しかったので元に戻ったという方を聞きます。
アラフィフ管理人のおかけんです。
私の実家は兵庫県の田舎なのですが、すぐ近くに郊外型の大型ショッピングモールがあったり、車で20分も走れば都心に行くことができ、全く不自由を感じることがありません。
そのせいか、父親はもっと田舎で暮らしたいと口癖のように言っています。
このように都心近くや都心に住んでいる人の中にはまだ田舎暮らしに憧れる方もおられるのでしょうね。
私は佐賀県唐津市という地方都市に会社の転勤で引っ越してきて、田舎暮らしをもう7年近くやっています。その田舎暮らしについて考えたことや感じたことを紹介します。
地方都市が人口減少を抑えるためにしていること
田舎と言われる地方都市においては若年層が都心部へ出て行くことによる人口の減少や少子高齢化による過疎化を防止するためにいろんな工夫をされています。
町おこしと呼ばれるイベントや、Uターンや都市部からの人を引き入れるために古民家の格安物件を自治体が準備したり、家の購入費用の補助を行ったりと優遇制度を設けるなどです。
そして、人が集まるには産業の活性化が必要とのことで企業誘致を行い、そこで雇用される人を招き入れたりしています。
唐津市も企業誘致で人口増加と産業の活性化を狙って莫大な金額の企業誘致を行っており、それを利用して私の会社は唐津市に工場を建設しました。
これによる金額的効果は分かりませんが、助成金には何十億円という金額が使われており、関西の企業が進出したことで、関西からの移住者はもちろんのこと、九州各県からも人を雇用することで地域の活性化につなげています。
田舎と都心部の違う環境を事前に知っておく必要がある
企業誘致などによる会社の転勤で田舎暮らしになってしまうのは不可抗力でもありますので、仕方がありません。
しかし、「田舎暮らしに憧れて」という場合は、事前にその環境を知っておく方が良いでしょう。
私の住んでいる唐津市について見てみました。
交通機関
車中心の生活になります。電車はあるものの博多行きの筑肥線が1本だけ。それも駅から多少の距離があると駅への交通手段がありません。
買い物に行くにもスーパーが近所にある場合はいいですが、私の家からは最も近くでも約3kmの距離があります。車以外の手段はありません。
店や施設
引っ越してきたときに不動産屋さんから、遠くを指差してあそこに一番近い店がありますと言われましたが、私には見えませんでした。
その方向へ進んでいってみると3kmくらい離れたところにスーパーがあり、まるでどこかの原住民なみの視力だなと驚きました。
そこそこの飲食店で食事をしようと思うと10kmくらい離れたところまで行かなければなりません。
映画を見ようと思えば県庁所在地の佐賀市か福岡市の博多区まで行かなければなりません。車で片道1時間半かかり、ほとんど小旅行です。
大型の本屋さんに行こうと思えば、同じように都心部まで出る必要があり、これも小旅行です。
病院に乏しいです。特によそから引っ越して来た場合は、どこに行けば良いのか全くわかりませんので深刻です。治療施設も都心部に比べると古いです。
MRIやCTなどの設備がなく、他の施設へ検査に行く必要があり費用と時間を浪費します。また、外来の受付時間の終了が17時というところがほとんどで会社帰りにちょっと寄るというようなことはできません。
街灯が全くありません。日没がすぎると周辺は真っ暗になります。
習慣や文化の違い
言葉が慣れるまではお店で買い物するのも苦労します。
未だに近所で工事があると停電や水道が止まったりします。
その他、習慣の違いは生活の部分になりますので、言葉では具体例を挙げにくいですが、いろいろとあります。
インフラ関係
インフラ関係はとにかく高いです。
以前住んでいたところでは都市ガスが通っていましたので、家族4人で月に15000円程度だったガス代が、こちらではプロパンガスでおまけに価格の自由化に乗っかり異常に高額なこともあり、月に約40000円に跳ね上がりました。
これについては、市内数社のガス会社がありますが、一社が独占して卸しをしており、そこの自由価格で仕入れて販売するのでどこの会社も高額になります。
この影響で家計の光熱費が突然高騰し、生活費に大きな支障が出ましたので、風呂場だけでもと温水器を導入しました。費用は70万円程度かかりましたが、ガス代金を払い続けることを考えると家計は大分、楽になりました。
現在、ガスはキッチンだけですが、それでも月6000円かかっています。
電気代、上下水道代も以前の1.5倍程度の価格です。
車がないと移動手段がありませんが、ガソリン代が都心部よりもリッターあたり約20円高いです。
車検にも注意です。車検を受けてから車検証を受け取るまで数週間かかります。その間、車検証待ちの証明シールを貼るのですが、その期限が切れても車検証が届かない場合があります。これに気づかず乗り続けると50万円以下の罰金刑に処されます。
テレビの電波が来ていません。ケーブルテレビを契約する必要があります。これも一社の独占で月3000円がかかります。これを節約してテレビを見ない家もあります。
労働賃金
とにかく地元の会社は賃金が安いです。”高給”と広告に出ている会社でも支給月給が20万円以内です。時給の場合は700円前後、600円台前半も珍しくありません。
このように実際に生活する場合にどのようなリスクがあるかという点を事前に調査しておかないと家計が苦しくなって後悔することになります。
田舎の悪いところばかりを挙げたようですが、事前に知っておくべきもっとも重要なことだと思います。
その上での心つもりが必要でしょう。
自然の多い田舎で暮らすことの楽しみ
しかし、田舎暮らしをしてみたいいう方がおられるいうことはそれなりの魅力があるということです。
私の場合ですが。
海が近くにありますので、気軽に綺麗な景色や釣り、夏には海水浴が楽しめます。
この夏には、自宅から海パンにタンクトップという格好で自転車に乗って、10分程度の海水浴場に出かけ、小1時間泳いでからそのまま帰り、自宅でシャワーを浴びて終わるという生活を楽しみました。
海の反対側は山に囲まれています。海水浴のオフシーズンは登山を楽しむこともできます。
自然の中にはいろんな動物がいます。
初めてイノシシが道を走っているのを見たときは本当にびっくりしました。
自宅周辺の溝にはカニがいます。娘の通っている学校には近所に大きな海水の川があるのですが、そこから来たカニが構内の庭にいるそうです。
その反面、危ないものもいます。マムシやスズメバチ、野生の猿なども。
先日、ヤモリが家の中に入ってきてパニックになり、家中の壁や絨毯の下、押入れの中までひっくり返して探し、掃除機で吸って捕まえるというエピソードがありました。
道路が海岸に沿って通っており、走っていると非常に景色が綺麗です。私がサイクリングを趣味にしたのはこれがきっかけです。
このような楽しみを分かっている人が田舎暮らしに憧れるのかもしれませんね。
自分が田舎暮らしをしてみて感じたこと
私の場合、自分が望んだ田舎暮らしではありませんので、不便であることは拒めません。
今はネットがあるから何でも通販で買えると思っていても、この辺りでは都心部より1日発送も到着も遅いです。
一方、海や山が近いことで海水浴やサイクリングが楽しめるというメリットがあります。
夜には出かけるところがないので、早寝早起きの習慣がつき健康になりました。
一次産業が多いので、良い食材が安く簡単に入手できます。
子供を育てるには良い環境だと思います。
このようなことから一つ言えることは、しようと思ってもなかなかできない体験の生活ができていることは人生の中ですごいメリットではないかということです。
しかし、関西人の私にとっては、やはりある程度都心部の関西の方が住みやすいです。
まだ、田舎暮らしに憧れるには早すぎたようです。